スターフィールド株式会社
アジア向け越境ECカート「LaunchCart(ランチカート)」を提供するスターフィールド株式会社。現在は台湾向けがメインですが、今後は東南アジアにも事業の幅を広げます。今回は、営業部EC運用支援チーム責任者の久米大輔様とセールスチームの綛谷明帆様に、パートナーの立場からお話を伺いました。
コロナ禍で、越境ECのニーズが増えた
――企業プロフィールを教えてください
綛谷様:弊社は2007年、代表取締役社長の星野が大学生の時に創業しました。当初はシステム開発とWEB制作を受託していましたが、2012年頃に越境EC向けカートシステムの開発に着手し、2016年に「LaunchCart」として提供を始めました。LaunchCartはアジア向け越境ECで、自社サイトを構築する際にご利用いただけるサービスです。現在はLaunchCartの提供とシステム開発をメインに事業を行なっています。
久米様: LaunchCart導入企業様からは「輸出入のルールがわからない」「海外輸送でコストがかかる」などの声が非常に多く、越境ECを始める時の課題の1つに物流があると感じています。ECMSは「越境EC向けの物流で価格も安い」ということで弊社と相性が良く、2017年から共催セミナーを何度も開催させていただきました。当時はセミナーでECMSの話を聞き、弊社スタッフが物流について学びたいという思いもありました。ECMSに問い合わせした企業様を弊社にご紹介いただくなど、パートナーとして現在もお付き合いさせていただいています。
――貴社サービスについて、もう少し具体的に教えていただけますか
綛谷様:主に4つのサービスに分かれていて、まず1つ目は先ほどお話ししたLaunchCart。2つ目は越境EC向けのサイト制作です。LaunchCartはいわゆる管理画面なので、販売を始めるにはサイトが必要になります。弊社では、翻訳などの細かい部分にも対応した販売サイトを制作しています。
今まではシステム関係に特化したサポートを行なっていましたが、コロナ禍で越境ECのニーズが増えてきたこともありサービスの幅を広げました。それが、3つ目の運用代行と4つ目のECモール出品のお手伝いです。
LaunchCartを使った独自サイトの運用代行では、お客様からのさまざまな問い合わせに対して中国語や英語で対応したり、受注が来たら倉庫へ出荷をお願いしたり、管理画面の操作をしたりしています。ECを運営する企業様にとって手間のかかる部分を弊社がまとめて代行しています。
久米様:ちなみに弊社は台湾、上海、マレーシアに法人があり、運用の対応は現在、台湾人スタッフが現地で行なっています。
綛谷様:4つ目のECモールというのは、台湾・東南アジア圏で最大規模の「Shopee(ショッピー)」のことで、お客様がShopeeに出店する際のサポートはもちろん、弊社が立ち上げたショップにお客様の商品を掲載することも可能です。
――お客様からは、どのような課題を相談されることが多いですか?
久米様:越境ECを始めたいと思っている日本の企業様がまず思うのは「売れるかな」ということ。その後は、「言葉のできるスタッフがいない」「配送や関税に関する知識がない」などの具体的な課題が出てきます。
――そういった課題に対して、どのような解決策を提案されていますか。
綛谷様:心理的なハードルに対しては、私は「国内ECとほぼ同じですよ」とご説明することが多いです。ショップを始める時に決めることは基本的に国内と変わらないので、その部分を海外向けに決めていくだけだとお伝えします。ただ、国内では起こりえない言葉や関税などの壁はありますから、その部分については弊社や弊社のパートナー企業様が解決できるという話をして、お客様が感じるハードルを下げるよう努めています。
越境ECを通じて、世界をもっと身近に感じてほしい
――越境EC物流について、パートナー様から見て思うことはありますか?
綛谷様:最近思ったのは、伝票の中国語対応をしてくれる倉庫が少ないということ。
久米様:LaunchCartは台湾向けのお客様が多いので中国語の住所情報を持っています。ですが、倉庫はアルファベット対応がほとんどのため、わざわざ名前や住所を翻訳しなければならないのです。
綛谷様:越境ECでは日本直送をうたっている企業様が多くいらっしゃいます。現地で販売している台湾向けECサイトのはずなのに、住所入力が英語だと不自然に感じますよね。例えば日本でもサイトを見て気に入った商品を購入する時、住所の入力が都道府県ではなく番地からになっていたら「あれ?」と思って購入を戸惑ってしまうと思うのです。
LaunchCartを提供する側としては、お客様の商品を売れるようにしてあげたい。でも、倉庫が中国語の対応をしていないとなるとアルファベット対応せざるを得ないから、そこでもどかしい思いをすることがあります。
久米様:ECMSは中国語の対応ができているから強いですよ(※中国語対応のソリューションをご利用いただいている場合にのみ対応)あとは、冷蔵冷凍の対応ですね。クールEMSもありますが値段が高いので、現状は冷凍コンテナを利用してBtoBで運ぶことが多いと思います。日本の冷蔵冷凍品は人気がありますから、アジア圏で冷蔵冷凍の個配を低価格で提供するとなればニーズはあると思います。
それと、関税率がわかりづらいというのも越境EC物流の課題だと思います。原材料のちょっとした違いでもHSコードが変わるので、正確ではなく大体でもいいから関税率を知りたいと思うことがよくあります。
――ECMSに対しても何かあれば教えてください。
久米様:容積重量ではなく実重量で料金計算してほしいかな?ただ、もともとEMSより容積重量で課金されてもEMSの実重量より実は安かった、というケースもありましたが。
良い点に関しては、まずパートナー企業になる前の初期の段階ではECMSの公式サイトで分からないことは調べられました。
次に当社がパートナー企業となり担当の営業の方がついてくれたのですが、サポートが親切で丁寧なこと。関税率を聞いたらすぐに調べてくれたり、自社だけでなく他社の料金も出して検討させてくれたりと本当にパートナー企業として助けていただいています。
――最後に、越境ECに関わる事業者様へアドバイスをお願いします。
綛谷様:越境ECでは2~3カ月で売れるということはほぼありません。どんなヒット商品でも数年の時間をかけてプロモーションしている企業様がほとんどなので、事前調査にお金や時間を使うのではなく、まずは難しく考えずに始めてみてほしいと思います。調査に使うお金を広告費用に回すなどの使い方もできますし。
久米様:日本の企業様は丸投げされることが多いと感じますが、ある程度の規模になったら自分たちでやるべきだというのが弊社のスタンスです。そうすれば利益率も高まりますし、能力やノウハウも蓄積されます。弊社のサポートを卒業して自立した企業様が増えれば、日本の国力も上がっていくと考えています。
綛谷様:弊社のビジョンは「世界をもっと身近に」です。LaunchCartを利用してくださる企業様が自立して越境ECを運営することで、今より世界をもっと身近に感じていただけると思っています。