株式会社ウォーネクト様
「メイドインジャパン」の商品を日本から海外に向けて販売することをコンセプトに、越境EC事業を展開している株式会社ウォーネクト。今回は代表取締役社長兼CEOの水口 耕太様にお話しを伺いました。
物流コストが下がったことで良いサイクルができた
——企業プロフィールを教えてください。
弊社は、越境ECと呼ばれる海外向けの通販事業を行っています。2015年に創業したので、今期で7期目です。海外から見たときに、日本の魅力が分かりやすい場所である京都を創業の地に選びました。
商品の販売及び発送先は、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイの6ヶ国がメインです。経済成長の速さを見越してビジネスを展開するために、大枠のマーケット設定をアジアと東南アジアにしています。これは創業当時から変わっていません。アメリカやヨーロッパ向けにも一部出荷しています。
売れる商品は国によって異なるため、国ごとのマーケティングが欠かせません。インターネット上でリサーチをするほか、プラットフォーム内でお客様とやり取りをしたり、外国人スタッフから現地の情報を得たりして、ニーズに合う商品を販売しています。
——どのような商材をどんなプラットフォームで販売していますか?
取り扱っている商材は、家電や日用品、コスメなど幅広いですね。コロナ禍になり売れ筋商品に変化がありました。ハンドソープなどの消毒関連商品の需要が高まり、現在はパズルなどのホビー系商品やアウトドアグッズが売れています。コロナ禍以前は口紅がよく売れていましたが、最近ではマスク着用で口元が隠れることが多くなりましたのでアイライナーの方がよく売れていますね。
プラットフォームは、お客様のニーズを鑑みてそれぞれの国に適したプラットフォームを利用しています。それに加えて、自社独自のECサイトも運営中です。
——いま利用している物流サービスの利用期間、規模、主な仕向地を教えてください。
ECMSジャパン(以下、ECMS)では、国際宅配便サービスを台湾向けに利用しています。期間は、2019年の秋頃から利用しているのでちょうど2年ぐらいです。大きく出荷量が増えてきたのはここ3ヶ月くらいですね。毎日、京都市内にある弊社の倉庫から千葉県内にあるECMSの倉庫へ荷物を送っています。10月からは、台湾向けにお願いしているすべての荷物をECMSのフルフィルメントサービスを利用する予定です。今年中に出荷量を2倍にしたいと考えています。
——ECMSをご利用いただく前は、物流面でどのような課題がありましたか?
台湾向けの発送はコストが課題でした。ECMSを利用する前は他社に出荷を依頼していましたが、その配送料金の高さゆえにお客様が購入を控えるという悪循環に陥っていたんです。
そうした中で、ECMSは配送料金が安価だと知り導入を決めました。物流コストが下がればお客様の注文件数が増え、出荷量が増えればさらにコストが下がる、という良いサイクルができたのです。以前利用している物流会社より配送料金が下がったからといって、配送スピードが落ちることはありませんでした。ECMSを利用してからは弊社も売上をつくりやすくなり、お願いする荷物の個数も順調に増えてきています。
以前、弊社の倉庫を一時的に止めざるを得ない事象が発生し、出荷が完全に止まってしまったことがありました。そういったリスクに直面したときでも出荷ができるよう、物流拠点の分散化が必要だと強く感じたのです。その足掛かりとして今回、フルフィルメントサービスを採用させていただきました。
ここまで寄り添ってくれる会社は他にあまりないのでは
——ECMSを利用して良かった点や導入効果を教えてください。
一番良かったことは、やはり物流コストが下がったことですね。弊社の売り上げ増加にもつながりました。
お客様からは「日本から問題なく届いている」「思っていたよりも早く届いた」という声をよく耳にしますね。コロナ禍であることも考慮して、弊社ではお客様に対して注文から約2週間で届くというアナウンスをしています。しかし、実際は1週間程度で届いているので、ECMSを使うことでお客様には良い印象を与えられていますね。
ECMSは、僕たちが知らない情報をいろいろと教えてくださります。弊社に問題点があった場合も、それを吸い上げてECMSの内部でいろいろな検討や改善をした上で、フィードバックしていただいているんです。そうした点も、弊社としてはとても助かっています。
以前、とある大型家電商品が輸送中に破損してしまうトラブルがありました。ECMSから「保険をかけたらどうか」「梱包を見直したらどうか」というアドバイスをいただいてそのとおり改善した結果、破損トラブルの発生率は10分の1まで減少したのです。
他の物流会社と比較して、ECMSは弊社に寄り添っていただいている印象をもっています。個々の会社にもよりますが、レスポンスが遅い会社もあれば、担当レベルでは話もできない会社もあるんです。「一緒にビジネスをやっている」と感じられる点からも、ECMSを利用して良かったと思っています。
――ECMSに今後期待することはありますか?
物流コストがもう少し下がるとありがたいですね。国際宅配便の運賃もそうですが、新たに利用予定のフルフィルメントの利用料金についても、コストの削減を一緒にさせていただければ良いなと思っています。現在は台湾向けの荷物のみをお願いしていますが、他の仕向地についても、コストが下がれば利用を検討したいですね。
今後は、配送中に破損リスクがある商品もフルフィルメントで依頼をする予定です。そういった商品の梱包は、弊社で改善した梱包方法での対応をお願いできたらと思っています。
フルフィルメントサービスの導入にあたっては、ECMSの倉庫担当者が弊社の倉庫へ見学に来て、弊社がどのように梱包や作業をしているのかを見ていただく予定です。したがって、梱包の仕方については弊社がやっているレベルを理解していただいた上で、弊社と同じレベルかそれ以上のものをやっていただけることを期待しています。
——貴社の今後の展望をお聞かせください。
先に伝えた通り、今年中にECMSへ依頼する出荷量を2倍にしたいですね。そうなったときに弊社のリソースだけでは対応しきれません。このような観点からも、ECMSにはどうしても在庫保管や梱包などのフルフィルメントサービスまで含めてお力添えいただく必要があるのです。
弊社には、これまでの販売実績に基づく大量の販売データがあります。今後はそのデータ分析にも力を入れ、それを販売に活かせる体制をつくりたいですね。どういう国に、どのような需要がどのくらいあるかというデータは、商品開発をするメーカーさんにも活用してもらえるのではないかと思っています。
仕向地は増やす予定です。ただ、アジアや東南アジアでまだカバーできていない地域があるので、まずはその辺をきっちり押さえるところからですね。その後、欧米に拡大していきたいと考えています。