楽天グループ株式会社
Eコマース事業の先駆けとして、業界をけん引する楽天グループ株式会社。「日本をエンパワーメントする」というミッションを胸に、日本各地の楽天市場出店店舗さまと国内外のお客さまの橋渡しをしています。今回は、クロスボーダー・トレーディング事業部 グローバル企画課 国際ロジスティクスグループ ヴァイスマネージャーの中島弥優さまにお話を伺いました。
ECMSなら抱えていた課題を解決できる
——企業プロフィールを教えてください。
楽天グループは国内外において、Eコマースをはじめとするインターネットサービス、クレジットカードや銀行をはじめとするフィンテック(金融)サービス、携帯キャリア事業などのモバイルサービスからプロスポーツまで、70以上のサービスを展開しています。1997年に創業し、今年25周年を迎えました。越境EC事業は2009年から取り組んでおります。
「イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントする」は、創業時から変わらない私たちのミッションです。海外のお客さまが訪日し、現地へ行かないと買えないような日本国内の地方の特産品やニッチな商品も、楽天市場なら買える―。限られたマンパワーでお客さまとやり取りをしたり海外発送用の書類を作成したりするのはハードルが高いけれど、楽天市場なら気軽に販売できる―。そうした、海外のお客さまと日本の店舗さま双方のニーズを満たしながら、日本全国を元気にする場所を提供しています。
——どのような商材をどんなプラットフォームで販売していますか?
日本の事業さまは楽天市場をはじめとする日本のECサイトを通して、さまざまな商品を販売しています。特に人気があるのは、ファッションやスポーツ、アウトドア関係のものですね。食品やサプリメント、医薬品も人気です。現在は、80の国・地域のお客さまにご利用いただいています。
こうして日本のECサイトを通じて海外の消費者たるお客さまが購入された商品の配送手段として、楽天グローバルエクスプレスという物流サービスを提供しています。楽天スーパーセールやお買い物マラソン、複数のサービスをまたいで利用するとポイントがアップしていくスーパーポイントアップ(SPU)というプログラムで貯まった楽天ポイントは、楽天グローバルエクスプレス利用時も使用可能です。海外送料を安く抑えながら、まるで日本国内にいるかのようにお買い物を楽しまれているお客さまも多くいらっしゃいますね。
また中国や台湾といった消費者たる海外のお客さまが、自国のECサイトで買い物をするかのようにストレスなく日本の商品を購入できるように、現地のECモールなどに楽天公式店として出店する、海外パートナー旗艦店事業も行っています。越境EC事業とは異なり、日本のブランドさまやメーカーさまから仕入れた商品を販売しているのが特徴です。
——いま利用している物流サービスの利用期間、規模、主な仕向地を教えてください。
2018年からECMSジャパン(以下、ECMS)の国際宅配便サービスを利用しています。楽天グローバルエクスプレスを利用されている東アジアの国・地域のお客さま向けが中心です。出荷件数は香港向けが一番多いですが、韓国や台湾、シンガポール向けも増えてきています。
——ECMSをご利用いただく前は、物流面でどのような課題がありましたか?
ECMSを利用する前は、「現地到着後は別会社に配送を委託しているために、その後発生したトラブルについて連携が図れない」「価格交渉が難しく、戦略的な仕入れができない」といった複数の課題を抱えていました。お話を伺う中で、ECMSなら私たちが抱えていた課題を解決できると分かったのが利用の決め手でしたね。
現地との情報連携がスムーズで助かっています
——ECMSを利用して良かった点や導入効果を教えてください。
ダメージ含むイレギュラーな事象が発生した際も、ECMSはCS担当者が現地の状況説明や調査協力をしてくださるので、とても助かっています。調査結果のフィードバックがあることで、私たちも梱包方法や資材について倉庫側と具体的な話ができ、物流の質を改善できているんです。ECMSを利用する前はそういったフィードバックがなかったので、何がどう悪くてイレギュラーが発生したのか分からずに終わってしまうケースもありました。
お客さまからも、「ECMSがあるから楽天グローバルエクスプレスを使っている」「私が住んでいるエリアは、他の物流会社は配達できないけれど、ECMSなら配達できるエリアだから助かっている」といったお声が寄せられています。私たちだけでなく、その先で利用されているお客さまもECMSのファンになっているようです。今はコロナ禍の影響もあって物流業界も大変な中だと思いますが、他社さまと比較しても競争的な価格を維持していただけている点もありがたいですね。
――ECMSに今後期待することはありますか?
欧米やオセアニアといった、アジア以外のエリア向けの配送も強化していただきたいです。こうしたエリアを強化している越境ECフォワーダーさまが意外といらっしゃらなくて…。一方で、同エリアには私たちのお客さまも多くおられるので、ぜひラインをつくっていただきたいですね。
現地の輸入規制に関するサポートやコンサルティングの強化にも期待しています。楽天市場で人気が高い食品やコスメは、現地側の規制対象になっていることも多く、比較的ハードルが高い商材です。もちろん規制そのものは変えられませんが、例えば書類を1枚追加で書くというように、少し手を加えたら輸入できるようになるものについてコンサルティングしていただけたらありがたいですね。
——貴社の今後の展望をお聞かせください。
楽天グローバルエクスプレスがサービスを開始してから、5年が経過しました。必要な機能は整っているのですが、お客さまにさらに喜んでいただける発送やお買い物のサポート機能を追加していくことで、より利用しやすいサービスへと強化していきたいです。関税の元払い対応やコンビニ受け取りといった物流サービスのプラスアルファについては、ぜひECMSとも協力しながら進めていきたいと考えています。
海外販売の事業全体としては、海外売り上げが順調に伸びてきている中で、東アジア以外の地域での販売をもっと伸ばしていきたいです。越境EC事業はもちろんですが旗艦店モデルを含め、より広い地域のお客さまに利便性の高いサービスを提供していけたらと思っています。